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今になって、さっきまで充満していた夏を振り返ってみると、
やっぱり、過酷な暑さだった。
でも、夕涼みが出来るようになった今になると、 やっぱり夏が恋しくなる。
今年の夏、トライアスロンに出た。トライアスロンと言っても自転車がないもので、
スイム1.5km、ラン10kmだけの競技だった。
今年は仕事が忙しくて全くの練習不足状態。
順位やタイムを考えるまでもなく、「完走」ができるかが最大のテーマだった。
昨年も出場したのだけれど、今年は練習不足とちょっとした病気にかかり薬の副作用で昨年よりも10kg増の状態、普通の人なら出場断念だよね。
職場の人は「馬鹿だね〜」と言って鼻で笑う。
家族も「やめたら〜」と言うだけ。
朝4時30分に起きて車に乗り込む。今年は家族も連れての会場入り。
スタート直前はやはり緊張するもの、まずは1.5kmのスイムから。
スターターの合図で一斉にスタートする、沼地の水は透明度がなく自分の手の先すら
見え難い状態。
前に泳いでいる人に蹴られ、後から泳いでくる人に体当たりされる、横で泳ぐ人の水
飛沫が直接飛びかかる。自分が真っ直ぐ前に進んでいるのか分からない。自分の泳ぎ
が出来ず呼吸だけが荒れてくる。
スタートしてから何回腕を回して、何回息継ぎをしたんだろう。そして、これから
ゴールするまで何回腕を回して、何回息継ぎをすればいいんだろうと考える。
練習不足がたたり早速足がつってくる。腕も重たくなりなかなか水をかけなくなる。
呼吸は相変わらず荒れたまま。
「ここでやめたらどんなに楽になるだろう」と思ってきた。
今までいつもそうだった。
仕事をしても、勉強をしていても、ちょっと辛くなるとすぐにやめてしまおうとす
る。「悪い癖」
「スイムキャップを外して、手を振れば、棄権の合図」
「簡単なこと」
「すぐに楽になれる」
「悪い癖」
「あと10回息継ぎしたら、棄権しよう」
「よし、次ぎの10回息継ぎしたら、棄権しよう」
その繰り返しで1.5kmを完泳してしまった。
上陸し休む暇もなく、Tシャツを羽織り10kmのラン。
体力は既に全て使い果たした。真夏の炎天下で滝のように汗が出る。
足は既に100kgくらいに感じられる。
「歩いてしまおう」と決心したとき。
車椅子に乗った老人から「頑張れ!」と言われ、小さなチョコレートを貰った。
汗にまぎれながら、目から涙が出てきた。
そしてそのままゴールした。
200人中150位という無残な結果に終ったけど、あの車椅子の老人の笑顔の応援は 最高のご褒美だった。
「悪い癖」はなかなか治らないけど。
「悪い癖」のおかげでいい思い出が出来た。
今年の夏もいい夏だった。
<ヒロ君>2002.9.25
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